houko.com 

株式会社東日本大震災事業者再生支援機構支援基準

  平成24・3・2・内閣府・復興庁・総務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省告示  1号  
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)第18条第1項の規定に基づき、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構支援基準を次のとおり定めたので、同条第5項の規定に基づき、これを公表する。
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構(以下「機構」という。)は、東日本大震災によって被害を受けたことにより過大な債務を負っている事業者であって、被災地域においてその事業の再生を図ろうとするものに対し、その再生の支援を行うものである。機構は、被災地域において多数の事業者が自己の責めに帰することができない事由によりその事業の用に供する資産に甚大な被害を受けたことを踏まえ、できる限り多くの事業者に再生の機会を与えるよう適切に配慮するほか、被害の状況、経営状況等を考慮し、一定期間の弁済猶予等の金融支援を行うものとする。
「過大な債務を負っている」については、収益力に比して過剰な債務を負っているため、債権放棄、弁済猶予等の金融支援による事業の再生が求められている状態をいう。
機構が支援決定及び買取決定を行うに当たっては、次に定める基準によることとする。なお、機構は、その業務の対象を各県の産業復興機構による支援の対象とすることが困難なものとし、小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者等の事業再生支援を重点的に行うとともに、被災各県に設置されている産業復興相談センター及び産業復興機構と連携を図るものとする。
I.支援決定基準
 機構は、再生支援の申込みがあったときに、当該申込みが次の1.から6.までの全てを満たす場合でなければ、支援決定をしてはならない。
1.当該申込みをした事業者(以下「申込事業者」という。)の被災前の債務が、東日本大震災による被害の結果、収益力に比して過大な債務となったこと。
2.申込事業者が、東日本大震災前に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第19条第1項の地域を定める政令(平成23年政令第397号。以下「被災地域指定政令」という。)で定める地域で事業活動を行っており、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号。以下「法」という。)第19条第1項各号に掲げる事業者以外の者であること。
(注1) 以下のような場合も認められる。
1) 申込事業者が東日本大震災前に事業活動を行っていた業種と異なる業種で再生を図ろうとする場合
2) 申込事業者が東日本大震災前に事業活動を行っていた地域以外の地域(被災地域指定政令で定める地域に限る。)で事業の再生を図ろうとする場合
(注2) 被災地域指定政令第2号の地域として指定された地域で東日本大震災前に事業活動を行っていた事業者については、被災地域として指定された事由となった出荷制限等に係る農林水産物(加工品を含む。)と関連性を有する事業を行っている場合に限り、再生支援の対象となる。
(注3) 法第19条第1項第3号及び第4号に掲げる法人(以下「第3セクター要件該当法人」という。)については、再生支援の申込み時に第3セクター要件該当法人でないものの、その後、短期間に第3セクター要件該当法人となることが見込まれる法人(再生支援の申込み時に一時的に第3セクター要件該当法人でなくなったものの、その後、短期間に再び第3セクター要件該当法人となることが見込まれる法人を含む。)については、機構が再生支援をすることができない。
3.事業の再生が見込まれることを確認するものとして次の(1)から(5)までの全てを満たすこと。
(1)再生支援の申込みに当たって、法第19条第2項第2号に掲げる書面により、申込事業者に対し、いわゆるメインバンク、スポンサー等が事業の再生に必要な資金の貸付け又は出資を行うことが見込まれること。
(注1) 「スポンサー」とは、一般的に、対象事業者に対する投融資等を通じて、対象事業者の事業の再生をコミットする投資家のことをいう。例えば、機構が出資する場合には、支援終了時等において、機構の対象事業者に対する出資に係る株式又は持分の譲渡先をいう。なお、機構の支援決定の時点でスポンサーが決定している場合と、機構の支援決定後から支援終了までの間に入札等を通じてスポンサーを選定する場合とがある。
(注2) 法第19条第2項第2号に規定する資金の貸付け又は出資に相当するものが既に行われている場合も認められる。
(2)申込事業者が次に掲げる基準を全て満たすこと。ただし、当該事業者の属する事業分野の特性等を勘案し、これらの基準のうちの一部について、その期間内に満たすことが見込まれないことについて合理的と認められる特段の事情があると機構が認める場合は、これを硬直的に適用することとはしない。
 なお、各指標の計算方法については、我が国の産業活力の再生及び産業活動の革新に関する基本的な指針(平成23年財務省・経済産業省告示第3号)及び一般的な会計規則において別に定めるところによる。
1) 支援決定が行われると見込まれる日から15年以内に有利子負債のキャッシュフローに対する比率が15倍以内(注2)となること。ただし、個別の業種特性等について配慮するものとする。
(注1) 申込事業者が国又は地方公共団体から補助金等の交付を受けている場合においては、次のイ)及びロ)のいずれも満たすことを条件として、当該補助金等の額をキャッシュフローの額に算入することができるかどうかを判断することができる。
イ)当該補助金等の目的、その目的に応じた必要額及びその積算根拠が明確であるなど、透明性が確保されていること。
ロ)当該補助金等を交付する者が、その財政力等の観点も踏まえつつ、その自主的な判断に基づき、一定の期間継続して当該補助金等の交付を行う蓋然性が高いと見込まれること。
(注2) (有利子負債合計額−現預金−信用度の高い有価証券等の評価額−運転資金の額)/(留保利益+減価償却費+引当金増減)≦15
2) 支援決定後おおよそ5年以内を目途に営業損益が黒字となること。ただし、黒字化の目途は、個別の業種特性等を配慮するものとする。
(注)上記1)(注1)の条件を満たす補助金等の交付により、経常損益が黒字となることが見込まれる場合には、機構は上記基準を満たしていると判断することができる。
3) 支援決定が行われると見込まれる日から15年以内に債務超過が解消されること。
(3)申込事業者を支援決定時点で清算した場合の当該事業者に対する債権の価値を、事業再生計画を実施した場合の当該債権の価値が下回らないと見込まれること。
(4)機構が申込事業者の債権の買取りを行い、又は申込事業者に対して出資(債務の株式化を含む。以下同じ。)を行う場合には、支援決定が行われると見込まれる日から15年以内に、いわゆるメインバンク等の当該申込事業者の再生のために協力を求める必要がある金融機関等により申込事業者の資金調達(リファイナンス)又はスポンサーの出資の買取りが可能な状況となる等、当該債権又は出資に係る株式若しくは持分の処分が可能となる蓋然性があると見込まれること。なお、再生支援の実施に当たっては、いわゆるメインバンク、スポンサー等から資金支援を受けるなど、民間の資金を最大限に活用するものとする。
(注)機構が買取りを行う債権は、原則として申込事業者が被災した以前からの債権に限られる。
(5)事業再生計画の内容に機構が申込事業者に対して出資をすることが含まれる場合には、次に掲げる要件を全て満たすこと。なお、機構による出資は、支援決定の日から15年以内にはスポンサー等へ譲渡する必要がある等暫定的な措置であることを踏まえ、機構は、その要否及び出資処分方法について十分な検討を行うとともに、スポンサーが得られた場合は、出資は、可能な限りスポンサーから行うよう調整するものとする。
1) 機構が事業再生計画の実行支援を強力に推進する上で、機構による出資が真に必要不可欠であること。
2) 機構等が申込事業者に対しその株式又は持分の比率に応じたガバナンス(経営管理)を発揮できる体制を構築すること。
3) 機構からの出資により、メインバンク、スポンサー等からの投融資等を受けることができると見込まれること。
4) 企業価値の向上により、投下資金以上の回収が見込まれること。
4.事業再生計画が、申込事業者が事業再生を行おうとする地方公共団体が定めた東日本大震災からの復興に係る計画や、当該地方公共団体が実施する復興に向けた取組に反しないこと。
5.申込事業者が、労働組合等と事業再生計画の内容等について話合いを行ったこと又は行う予定であること。
6.申込事業者が、反社会的勢力ではなく、また、そのおそれもないこと。

II.買取決定基準
 機構は、次の1.から5.までの全てを満たす場合でなければ、買取決定をしてはならない。
 なお、機構は、信用保証協会等が対象事業者の債務の保証に基づき取得した求償権についても、買取りに努めるとともに、対象事業者に対して、必要に応じ、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成11年法律第131号)の事業再構築計画、経営資源再活用計画、経営資源融合計画、資源生産性革新計画又は中小企業継承事業再生計画の認定の申請を促すこと。
1.買取申込み等に係る債権のうち、買取りをすることができると見込まれるものの額及び法第20条第1項第2号に掲げる同意に係るものの額の合計額が必要債権額を満たしていること。
2.買取決定の対象となる買取申込み等をした関係金融機関等が回収等停止要請に反して回収等をしていないこと。
3.買取価格は、支援決定に係る事業再生計画、被災地復興の見通し、再生支援を開始した後における対象事業者の経営状況の見通し、債権の担保の目的となっている財産の価格の見通し等を勘案した適正な時価を上回らない価格であること。
4.買取決定時点においても、支援決定基準を満たすこと。
5.支援決定までに、対象事業者が労働組合等と事業再生計画の内容等について話合いを行っていなかった場合には、当該話合いを行ったこと。
(注)この支援基準における用語のうち、法において定義が定められているものについては、その例による。