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福島県双葉郡富岡町の特別地域内除染実施計画の変更を公告する件

  平成26・1・15・環境省告示  4号  
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号)第29条第1項の規定に基づき、福島県双葉郡富岡町の特別地域内除染実施計画を変更したので、同条第2項において準用する第28条第4項の規定に基づき、次のとおり公告する。
はじめに
 「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号。以下「特措法」という。)は、平成23年8月末の公布以後、特措法に基づく基本方針(平成23年11月11日閣議決定。以下「基本方針」という。)や政省令の整備、国が除染等の措置等を実施する除染特別地域の指定等を経て、平成24年1月1日に全面施行された。
 全面施行を受け、国等は、特措法に基づく除染等の措置等を迅速かつ適切に実施することになる。除染特別地域における除染等の措置等については、特措法第28条に基づき策定する除染特別地域に係る除染等の措置等の実施に関する計画(以下「特別地域内除染実施計画」又は「本計画」という。)に従って進めることとなった。
 一方、平成23年12月26日には、原子力災害対策本部より「ステップ2の完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」が示された。除染等の措置等の実施は、警戒区域及び避難指示区域の見直しに密接に関係することから、特別地域内除染実施計画の策定に際しては、これらの区域の見直しの動向に留意することが求められることとなった。
 これらを踏まえ、平成24年1月26日に、環境省は、除染特別地域の除染の進め方についての考え方を「除染特別地域における除染の方針(除染ロードマップ)」として示した。同ロードマップにおいては、環境省は、関係省庁から人材面も含めた協力を得ながら、同ロードマップを基本として、市町村等の関係者との協議・調整を行いつつ、具体的で実効ある特別地域内除染実施計画の策定及びその実施に取り組んでいくこととした。
 その後、環境省は、「除染の進捗状況についての総点検」(以下「総点検」という。)を平成25年9月10日に公表し、平成24年度、25年度の2年間で除染等の措置の実施を目指すとした除染ロードマップの目標を改め、個々の市町村の状況に応じ、復興の動きと連携した除染等の措置を推進することとした。
 本計画は、特措法第28条の規定に基づく計画として、平成25年6月に策定した特別地域除染実施計画を、総点検を踏まえて改定し、除染等の措置等の実施に関する方針、特別地域内除染実施計画の目標、特別地域内除染実施計画の目標を達成するために必要な措置に関する基本的事項、その他除染特別地域に係る除染等の措置等の実施に関し必要な事項について記述したものである。
特別地域内除染実施計画の期間
 本計画においては、その対象期間を平成29年3月末までとし、当該期間における除染等の措置等に係る目標、実施内容等について次のとおり定めるものとする。ただし、除去土壌及び土壌等の除染等の措置に伴い生じた廃棄物(以下「除去土壌等」という。)の仮置場等での保管及び搬出については、仮置場等からの搬出が終わり、仮置場等が解消されるまでを本計画の期間とする。なお、作業の加速化・円滑化を図り、可能な限り工期の短縮に努めることとする。
1.除染等の措置等の実施に関する方針
 福島復興再生基本方針のとおり長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目指し、除染等の措置等は、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的とし、以下の方針に基づき実施する。
① 除染等の措置等は、人の健康の保護の観点から必要である地域について優先的に実施する。
② おおむね年間積算線量50ミリシーベルト以下となる地域について、除染等の措置等を実施する。一方、おおむね年間積算線量50ミリシーベルト超となる地域については、除染技術の確立及び作業員の安全性の確保のための除染モデル実証事業の結果、復興計画の絵姿及び線量の程度等を踏まえた除染について検討した上で、富岡町における復興・帰還に係る取組等と十分に整合を図りつつ、帰還時期に応じた必要な対策を行う。
③ 除染等の措置等の実施に当たっては、適宜関係機関等と連絡・調整しながら進める。
④ 除染等の措置等は、本計画に従うとともに、特措法及びその下に策定された基本方針、政省令、ガイドライン等を踏まえて実施する。
2.特別地域内除染実施計画の目標
 基本方針に定める目標を踏まえ、図の太枠の地域(以下「実施対象区域」という。)内における住居、事業所、公共施設等の建物等、道路(以下「住居等」という。)及び農用地における空間線量について、後述する「3.(2)除染等の措置等に関する方法」による除染等の措置を講ずることにより、できる限りの低減を図る。
 現時点の知見によれば、「3.(2)除染等の措置等に関する方法」による除染等の措置を講ずることにより、例えば、平成24年3月末時点の年間積算線量が50ミリシーベルト、20ミリシーベルト、10ミリシーベルト、5ミリシーベルトの宅地においては、平成28年3月末に、それぞれの年間積算線量が平均的におおむね13ミリシーベルト、6ミリシーベルト、4ミリシーベルト、2ミリシーベルトに減少すると考えられる。
 また、これに加え、本計画においては、実施対象区域における住居等及び農用地についての具体的目標を以下のとおり定める。
① 平成28年度内を目途におおむね年間積算線量20ミリシーベルト超の地域における住居等及び農用地については、除染等の措置及び物理的減衰等により、年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることを目指す。
② 学校等については、その再開前に校庭・園庭の空間線量率を毎時1マイクロシーベルト未満とすることを実現する。
③ 農用地については、農業生産を再開できる条件を回復させるという点に配慮する。
3.特別地域内除染実施計画の目標を達成するために必要な措置に関する基本的事項
(1)除染等の措置の対象及びスケジュール
 実施対象区域内における住居、事業所、公共施設等の建物等及び建物等近隣の農用地・森林については、平成27年度内の完了を目途に除染等の措置を実施する。
 実施対象区域内における残りの農用地、道路及びそれらの近隣の森林については、平成28年度内の完了を目途に除染等の措置を実施する。
 なお、作業の加速化・円滑化を図り、可能な限り工期の短縮に努める。
 ただし、平成26年度の早い時期に、発生する除去土壌等に対応する容量を有する仮置場等の確保の目途が立っていない場合は、この限りでない。
(2)除染等の措置等に関する方法
 除染特別地域については、その線量が高いこと、面積が広大であり除去土壌等の大量発生も想定し得ること、避難指示区域の解除に向けて迅速に除染等の措置を実施する必要があること等を踏まえ、除染特別地域における除染等の措置等は、以下に示す考え方に基づき、実施することとする。
① 限られた期間内に除染特別地域において除染等の措置を講じなければならないことから、原則として、除染等の措置の方法は、一定の効果が実証されたものであり、広範囲に展開可能な合理的な方法であることを基本とする。
② 必要な時期に確保できる仮置場等の容量を踏まえ、技術の進展を踏まえつつ除去土壌等の減容化を行うなど、除去土壌等の発生の抑制に配慮しつつ除染等の措置を実施する。
③ 除染とインフラ復旧との工程調整や一体的施工等により復興の加速化・円滑化を図る。
④ 大規模な原状回復や金銭による補償等、その実施に比較的長期間を要する補償を伴う除染等の措置等に関する方法は、「2.特別地域内除染実施計画の目標」に掲げる具体的目標の達成に照らしてやむを得ない場合に採用する。
⑤ 農用地については、関係機関と連携して、その特性を踏まえた除染等の措置の方法等について検討した上で、除染等の措置を実施する。
⑥ 森林については、住居等近隣における措置を最優先に行うものとする。その他の森林については、当面は、蓄積されつつある技術的知見を踏まえて、関係機関と連携して、今後の対応を検討する。
⑦ 「2.特別地域内除染実施計画の目標」に掲げる具体的目標の達成に支障となるような特段の事情が生じた場合には適切な対応を実施する。
⑧ 除去土壌等については、仮置場等に一時的に保管し、その後、逐次中間貯蔵施設又は管理型処分場に搬入するものとする。なお、仮置場等については、平成26年度の早い時期までの確保に向けて引き続き必要な調整を行う。
(3)除染等の措置に関する工程
 除染等の措置の実施に当たっては、原則として、以下に掲げる取組を順次行うものとする。
① 建物、土地等の関係人の把握
 除染等の措置を実施する建物、土地等の関係人の氏名等を把握する。
② 土地等の立入りの了解
 建物、土地等の状況調査を行うため、関係人から立入りの了解を得る。その際、必要に応じて住民説明会を行う。
③ 線量の測定等、建物・土地等の状況調査
 建物・土地等の線量の測定等、建物・土地等の状況の把握等を行う。
④ 除染等の措置に関する方法の決定
 上記の結果を踏まえ、適切な除染等の措置に関する方法等を決定する。
⑤ 除染等の措置に関する方法の説明・除染等の措置の同意
 除染等の措置に関する方法等について、関係人に説明を行い、除染等の措置の実施について同意を得る。
⑥ 除染等の措置の作業の実施
 同意内容に沿って、除染等の措置の作業を実施する。
⑦ 事後の線量の測定等
 除染等の措置の作業後に、除染等の措置の対象の線量の測定等を行う。
⑧ 結果等の報告
 除染等の措置による結果等を関係人に報告する。
4.その他除染特別地域に係る除染等の措置等の実施に関し必要な事項
(1)広域的なインフラの除染等の措置
 複数の市町村で利用する広域的なインフラについては、当該インフラの受益住民の帰還時期等を踏まえて、広域的視点から除染等の措置の実施を検討するものとする。常磐自動車道については、復興庁、国土交通省、環境省、NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)等からなる放射線対策検討合同チームにおいて、除染等の措置や復旧・建設の方策を検討し、実施する。
(2)リスクコミュニケーションの推進
 除染等の措置等を適切かつ円滑に実施するためには、住民の方々における放射線についての正しい理解が不可欠である。
 このため、説明会の開催等を通じて住民の方々に対しリスクコミュニケーションを行う。
(3)作業員の放射線障害防止対策
 除染等の措置等の実施に際しては、除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のため、「東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則」(平成23年厚生労働省令第152号)及び「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」(平成23年12月22日厚生労働省)を遵守する。
(4)除染作業の管理監督の徹底
 除染等の措置等を適切に実施するために、事業者の施工責任の徹底を図るとともに、監督体制の強化等幅広い管理監督を実施する。
(5)特別地域内除染実施計画の見直し等
 本計画に基づく取組を着実に進めるため、除染等の措置の作業の進捗状況や作業の前提となる仮置場等の確保の状況等について定期的に点検を行う。その結果必要と認められる場合又は本計画策定後に避難指示区域の見直しが行われた場合、技術的知見が著しく進展した場合、その他必要に応じて、本計画の見直しを実施し、特措法第29条に沿って本計画を変更する等適切な措置を講ずることとする。
 また、基本方針に掲げる長期的目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目指し、除染等の措置等の結果について点検・評価し、本計画期間終了以降の対応方策について国等の関係機関や富岡町と共に検討した上で、平成29年度以降において適切な措置を講ずることとする。
 農用地と森林については、「3.(2)除染等の措置等に関する方法」で述べる検討結果を踏まえ、対応方策を検討する。

 本計画において、以下のとおり用語を定義する。
① 「除染等の措置」とは、事故由来放射性物質により汚染された土壌、草木、工作物等について講ずる当該汚染に係る土壌、落葉及び落枝、水路等に堆積した汚泥等の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置をいう。
② 「除去土壌」とは、特措法第25条第1項に規定する除染特別地域に係る土壌等の除染等の措置に伴い生じた土壌をいう。
③ 「除染等の措置等」とは、除染等の措置並びに除去土壌の収集、運搬、保管及び処分をいう。
 「年間積算線量」については、「ステップ2の完了を受けた警戒区域及び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題について」における「年間積算線量」と同様の定義である。
 平成24年3月末時点の線量
 基本方針における目標は以下のとおり。
① 自然被ばく線量及び医療被ばく線量を除いた被ばく線量(以下「追加被ばく線量」という。)が年間20ミリシーベルト以上である地域については、当該地域を段階的かつ迅速に縮小することを目指すものとする。ただし、線量が特に高い地域については、長期的な取組が必要となることに留意が必要である。
 この目標については、土壌等の除染等の措置の効果、モデル事業の結果等を踏まえて、今後、具体的な目標を設定するものとする。
② 追加被ばく線量が年間20ミリシーベルト未満である地域については、次の目標を目指すものとする。
ア 長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となること。
イ 平成25年8月末までに、一般公衆の年間追加被ばく線量を平成23年8月末と比べて、放射性物質の物理的減衰等を含めて約50%減少した状態を実現すること。
ウ 子どもが安心して生活できる環境を取り戻すことが重要であり、学校、公園など子どもの生活環境を優先的に除染することによって、平成25年8月末までに、子どもの年間追加被ばく線量が平成23年8月末と比べて、放射性物質の物理的減衰等を含めて約60%減少した状態を実現すること。
 なお、上記の線量は平成23年8月末時点における追加被ばく線量である。
 中間貯蔵施設については、地方公共団体や住民の理解を得つつ、仮置場への本格搬入開始から3年程度を目途として供用開始する。

(地図略)